◆集合場所
集合時間の朝8時少し前、「道の駅 大滝温泉」には既に全員が揃っていた。
じつは、この日から仕事を放り出して11連休を取ることになっており、
心身ともにリフレッシュさせる予定になっているのだ。
そのために旅情派活動は至極当然のことである。
事前の呼びかけに反応頂いた車はXJばかり6台となった。
特に車種には拘らないが、たまにはこんなツーリングも良いものである。
この日は朝から眩しいばかりの青空が広がり、行程が楽しみになる。
集合場所にてXJ談義や林道行程について確認した後、まずは中津川林道に向けて出発。
中津川林道は今まで何度もこの近くを通りながら縁が無かったのであるが、
ちょうど本日6月1日は川上牧丘林道の冬期封鎖が解かれる日でもあったので、
その周辺の林道群を絡めて走れるようなコース設定をしたのである。
◆中津川林道
「道の駅 大滝温泉」を出てR140 を西へ進むとループ橋が現れ、
その先のトンネルを通過すると中津側方面に向けて右折することになる。
ここまでのルートは帰省時や富士山方面に行くためにR140を利用するので良く知っているが、
今回になってようやく右折へのウィンカーを点滅させることができた。
しばらく細い舗装路を進んで行くと、いわゆるそこは中津峡と呼ばれる渓流沿いである。
今回のように青葉薫る雰囲気も良いが、紅葉の時期が最も彩りが映える場所と想像される。
その場は通過するだけなので、一瞬の短い時間の中で可能な限り想像を描き立てて、
頭のどこかにメモを残しておく。
秋になれば、またそのメモのことを思い出すであろう。
そうこうしているうちに、彩の国ふれあいの森に到着する。
そして、その先が中津川林道への入り口である。
いよいよ、ダート林道が始まった。
起点からほどなくしてトンネルを2ヶ所通過することになる。
一般的な国道や高速道路にあるトンネルとは違ってこのような道に存在するトンネルは
なにかしら不思議な魅力を持っていると思うのは私だけだろうか?
思わず停車してシャッターを押した。
その後、しばらく木々に優しく囲まれた雰囲気の中を走ることになる。
この辺りは、なだらかな道のりで高度は上がらず展望が開ける訳でもない。
それでも先頭を走る私は何か気になるものが目に留まれば幾度と無く止まり、車を降りる。
例えば、岩の隙間から流れ落ちる水に濡れた葉は文句なしに美しい。
また、そんなときにふと気付く山の住人たちの歌い声。
誰が歌っているのかわからなくても、心が和む。
そして参加者の意見も聞きながら自分が感じたものを確認する。
言葉の表現は違えども、どこかで共通していることに安心するのであった。
中津川林道の路面はよく踏み固められているが、ブラインドコーナーが多いので対向車には
注意したいところである。
大山沢林道や奥秩父林道などの分岐もあったが、ゲートは封鎖されているようだ。
そこがいつ解かれるのかわからない。とりあえず先に進む。
# 通れる細い支線が他にあったかもしれないが、先導に意識があったのでよく覚えていない。
今まで緩やかに進んでいたのが、ある地点から急に勾配を上げるようになる。
岩盤が露出した絶壁沿いを進むイメージだ。
三国峠が近づくにつれて展望が開けて遠くの稜線が目に入ってくるようになる。
晴天のおかげで幾重にも織り成す稜線が遠くまで続いていた。
しばらくして峠の頂点が見えた。
三国峠に到着したのである。ここは標高1828mの地点と記されている。
そして埼玉県(大滝村)と長野県(川上村)の県境でもある。
またそこからすぐ北側は群馬県(上野村)との県境もある。
三国峠たる由縁はそのようなところにあるのだろうか。
トイレも用意されているのでしばらく休憩して風景を楽しむことにした。
三国峠付近では鮮やかな黄色の高山植物が目に留まった。
セイヨウタンポポやヤマガラシといった種だろう。
ふと思い付いたのであるが、植物や昆虫などの図鑑を車に積んでいても良いかもしれない。
さぁ、長野県側に入って舗装路を下ろう。そう、峠を越えてからは舗装路なのである。
下り始めてすぐに気が付いたことがある。目に飛び込んでくる景観が峠を境に全く違うのだ。
先ほどまでは広葉樹が折り重なるようにして緑の世界を形成していたのだが、
こちらでは針葉樹がまばらにそして直線的に並んでいるのである。
植林などで人の手が入っているのかもしれないが、驚くととも異なる雰囲気を楽しんだ。
そして次なる目的の林道の起点が近づいてきた。
◆林道 相木川上線
舗装路を下っていくと右手に起点を確認することが出来る。
事前に収集していた情報では約9kmほどのダートらしいので早速入線してみる。
しばらくは鬱蒼としている印象を持ったが、
おそらくあまり利用されていない雰囲気がそう思わせたのであろう。
そんなことを思いながら導かれるままに進んで行く。
徐々に登っていくにつれて、林道を覆い被さっていた木々の葉が道を開いてくれた。
それと共に視界には青い空の色が占める割合が大きくなり、林道自体の印象も明るくなってきた。
そういえば、眼下に広がる川上村の高原野菜畑が見えたのもこの林道であった。
いくつかアップダウンがあったように思うが、特に激しいものではない。
後半部分は浮き砂利気味になるので、当然ながらハンドリングには注意されたし。
そんな中を走っていくと林道交差点に遭遇する。
そのまま真っ直ぐ進むと工事用のゲートで封鎖されていたので、交差点に戻って左(南)に進む。
そういえば、右の道はどうなっているんだろう?
# 未確認のままであった。
◆林道 秋山沢線
先ほどの林道交差点を左(南)に折れると秋山沢線である。
相木川上線とR68をつなぐ林道でどちらかといえば直線的に下っていくことになる。
下っている最中は木々が覆い被さって展望は開けず、あまり印象的なものは無かったが、
勾配が緩やかになり始めるとその姿は渓流沿いの林道に様変わりする。
そこからは良い雰囲気の道が続いており、まずは右手に水の匂いを感じながら、
木漏れ日のトンネルの中をくぐり抜ける。
そして最後は、タンポポの綿帽子が空に旅立つ準備を整えながら、
川上郷に向かう我々を道の両脇から見送ってくれていた。
その先、舗装路に出たところで小休憩。
千曲川が緩やかに流れる橋の上で、ひんやり心地良い風を感じながら、
今回のもうひとつのメインである川上牧丘林道に向けての確認を行う。
中津川林道のダートは約17kmだったので、
相木川上線と合わせてここまで約30kmほどのダートを走ったことになる。
◆川上牧丘林道
さぁ、いよいよ川上牧丘林道である。
この林道は例年12/1〜5/31まで冬期封鎖されてしまう林道である。
また、舗装や修復工事が頻繁に行われるため、上記期間以外でも走れないときが多い。
今回は事前に走れる確証があったので、期待を膨らませながら林道への進路を取る。
R68からは大弛峠への看板もあるので分岐ポイントはわかりやすいだろう。
6台のXJが南に向かって進んで行く。
林道はソロで楽しむほうが自由気ままに放浪できるが、
仲間とのツーリングでももちろん貴重な時間を共有することができる。
先ほどの分岐からしばらくは川上郷の高原野菜の畑が広がっている。
相木川上線からはるか眼下に見えた高原野菜畑もまさしくこの辺りの風景であった。
また、右手には花崗岩が露出した山が独特の存在を際立たせている。
のどかな風景と険しい風景が一つの視界の中に同居しているのである。
そんな中を南に向かってさらに進んで行く。
しばらくして分岐が2つある。
まず、1つ目は金峰ふれあいの森との分岐であるが、川上牧丘林道は右側である。
2つ目は廻り目平キャンプ場との分岐だが、川上牧丘林道は左側に進路を取れば良い。
尚、廻り目平キャンプ場は雰囲気ある場所なので、機会を作って是非訪れてみたい。
2つ目の分岐を過ぎてからは細い舗装路を登って行くことになるが、
ここは白樺林に囲まれているので、なんとも気持ちが良い空間である。
そしてその先には待望のダートが姿を現した。
ダートに入ると、幅員が広がってきた。4〜5mはあるだろうか、かなり広い。
そして勾配を稼ぐために180度ターンの急坂が続く。
また、途中で交差している箇所もあったが今回はそのまま直進することになった。
川上牧丘林道の路面は先ほどまで走ってきた林道とは明らかに印象が違う。
拳大の岩がゴロゴロしており噂通りに荒れている。
雨で削れた轍もあり、時折すれ違う乗用車は苦労していたようだ。
我々も四駆に過信することなく確実に進んで行った。
最後尾で写真を撮ったり風景を楽しんだりしていたおかげで遅れていたが、
少し広まったところで休んでいる車に追いついた。
ここでは針葉樹の若木がこれから伸びていこうという姿が見られた。
十年後にはどれくらいの高さになっているのだろうか。
そして、川上郷から見えてた奇岩の連なりが目線の高さより低くなってきた。
周囲の木々も種類が変わってきたし、かなり高度が上ってきたことが実感できる。
その先に広場があるのでそこで昼飯を取ることにした。
時間は13:00頃であっただろうか。ほぼ予定通りの時間でここまで来れた感じだ。
ここは大弛峠までもうすぐの地点にも関わらず、思っていた以上に気温が高いが、
少しでも陽が陰ると急にひんやりとしてしまう。
そんな山の気まぐれに付き合いながら、食事と談笑で時間を過ごす。
それにしても空が近い。
下界では得ることの出来ないここまで上って来た者の特権であった。
昼食休憩後、さらに180度ターンを繰り返してどこまでも上って行く。
ガードレールの無い絶壁であり、ここまでくれば谷はとんでもなく深い。
はるか下のほうに集落が確認される。なんて素晴らしい景観なんであろう。
まさしくイメージしていた通りの世界がそこに展開されている。
少しずつ進みながらシャッターを押していたが、一枚撮るごとに初期化されていく気分がした。
この地点を過ぎれば、もう大弛峠だ。
標高2300m以上の日本一高い場所を走る林道の頂点である。
駐車場に車を止めて夢の庭園まで歩いてみたかったが、登山客やハイカーの車が多かったので、
断念して次の林道に向かって下っていくことにした。
峠を越えた地点は山梨県(牧丘町)である。
今回のツーリングは埼玉〜長野〜山梨と繋いで来たことになる。
下りは基本的に舗装路である。
川上村側のガレた路面と違って走りやすい。
途中で一部ダートのところもあるが、埃立つ砂地の路面であり全く異なる性質のものである。
ただ、この日も通行は可能であるものの舗装工事が随時されていたので、
牧丘町側の舗装化は急ピッチで進んでいくのは容易に想像される。
今回初めて川上牧丘林道を走ることができたが、牧丘町側の舗装化を割り引いても、
川上村側から大弛峠に向けて走るだけで充分価値ある林道と認識した。
◆鶏冠山林道西線
今回のツーリングで最後に走ろうとしていた林道である。
以前、何かの本で絶壁から富士山が拝めるポイントがあることを記憶していたので
同じような景観に出会えることを楽しみにしていた。
しかし・・・舗装路を下ってきて左に起点を発見したが、ゲートで封鎖されていた。
どうやら、いずれは西沢渓谷と結ぶ観光ルートになるため中盤から舗装工事が行われており、
一般車両は通行止めになっているらしい。
残念だが仕方が無い。
とりあえず、このまま下りて川上牧丘林道の舗装路は終了した。
その後、路肩に車を止めて地図を見ながらどうするか相談したところ、
予定していなかった水ヶ森林道まで足を伸ばすことになった。
が、またもや、しかしである。
うっかり、水ヶ森方面への分岐をやり過ごしてしまい、舗装路の杣口林道を進んでいた。
途中で気がついた時にはかなり下まで降りてしまっていた。
戻れない距離でも無かったが、時計は15:00過ぎだったということもあって、
結局、温泉に入って帰ることになった。
そのために、このまま杣口林道をR140まで走り抜けた。
◆ほったらかし温泉
選んだ温泉は、以前から入浴してみたかった「ほったらかし温泉」である。
場所はR140から笛吹川フルーツ公園に向かい、
公園内道路を抜けてさらに上のほうまで進んだ場所にある。
駐車場に到着すると車の台数に驚く。有名になって観光地化している感じがした。
そんなことを思いながら500円の入浴料を払って中に入る。
甲府盆地を見下ろす標高700mの山上のおかげで眺めは良い。
しかも柵などが無いため開放感がある。
木枠の露天にはあつ湯とぬる湯があり、一段下がった場所には岩風呂もある。
目の前には富士山をうっすら(本日は天気が良すぎたか?)確認することが出来た。
夜は甲府盆地の夜景を楽しみながら入浴できるのでロケーションとしては良い温泉であろう。
泉質はアルカリ性単純温泉で無色透明。
今回はみんなであつ湯のほうにつかりながら、本日の疲れを取るべくまったりとした。
湯上り後、外でしばらく涼んでから解散となった。
お疲れさま!
◆帰り道
ほったらかし温泉を出たのは17:00過ぎ。
R140〜R299〜R15は順調に流れていたおかげで帰宅したのは20:00過ぎ。
# わらじカツで有名な安田屋は時間の都合でまたの機会ということで。
このシリーズ楽しみにしてまーす。
>◆ほったらかし温泉
関連施設が石和にあるのでよく行きます。
フルーツ公園からの夜景きれいですよねー。
温泉は現在2つに拡大されていますねー。
行きたい・・・
無駄に長い記事になってしまいますが、今後も暇つぶしして頂けたら幸いです。
「ほったらかし温泉」は「あっちの湯」と「こっちの湯」が出来たそうですね。
フルーツ公園からの夜景は空気が澄んでいる時に見てみたいです〜
>ワニガメさん
「ほったらかし温泉」は湯船から富士山が見えるとそれだけで嬉しくなっちゃいます。
ただ、ゆっくり入ろうとしたら朝の早い時間か夕方以降が良いかもしれません。
日中は観光客が沢山訪れるようになってしまいましたので・・・