◆きっかけ
それは、3連休の前日のこと。
何となくであるが、うどんが恋しくなってきてふと「おたか本店」のことを思い出した。
ツーリングマップルにコメントが載っている店で、以前から気になっていた店である。
早速、該当のページ(関東甲信越版P52G5付近)を捲って、明日行くことに決めた。
天気予報を確認すると、晴天に恵まれそうだ。
同じページには、ちょうど奥武蔵グリーンラインも描かれている。
ここも以前から気になっていて走りたいと思っていた道である。
たまには舗装された峠道をのんびり走るのも良かろう。
そして、次の朝。
そんな考えに敏感に反応してくれた2台のXJとR299沿いのコンビニで待ち合わせた。
◆奥武蔵グリーンライン(顔振峠)
目的の奥武蔵グリーンラインを目指して出発したのはAM8:30すぎ。
毛呂山方面からもつながるが、今回はR299の吾野から顔振峠にアプローチするため、
(林道)という看板があるところを右折して山道に入る。
途中、深い山中とは思えないお洒落な喫茶店などが幾つか現れたが、
この辺りから奥武蔵グリーンラインと呼ばれるのだろうか。
そのような場所を過ぎると顔振峠の茶屋があり、そこの駐車場に車を停めた。
ちなみに、顔振峠と書いて「かあぶりとうげ」(orこうぶりとうげ)と読む。
由来について書いておくと、源義経が奥州に逃げる際にその景色があまりにも美しかったので、
顔を振り返りながら峠を越したというところから付けられたとされている。
茶屋の前から見晴台に続く道がある。せっかくだから登ってみることにした。
200mほどであっただろうか。頂上に辿り着くまで少々息が上がる感じであった。
頂上の見晴台や茶店からの眺めは確かに素晴らしい。
なるほど、義経公の伝説も納得である。
時の流れに対して普遍と思える絶景が目の前に広がっており、
幾重にも折り重なる山の向こうに富士山の頂を確認することもできた。
◆奥武蔵グリーンライン(関八州見晴台)
さらに奥武蔵グリーンラインの峠や景色を楽しみながら進んでいく。
茶屋が現れ、関八州見晴台入り口の看板も見受けられたが、
見晴台までは30分ほど歩く距離に思えたので、もう少し先まで車を進めることにした。
地図ではヘアピンカーブが続く辺り(見晴台まで5分くらい)に駐車スペースがあったので、
そこから登ることにした。
こちらも少々息が上がる勾配であったが、頂上では三方の遠景を楽しむことができた。
高山不動の奥の院が奉られており、東屋もあった。771m地点と書かれた標もあった。
ちなみに関八州とは、相模、武蔵、安房、上総、下総、常陸、上野、下野の国を表わし、
これらが一望できるところに名前の由来があるらしい。
晴天のおかげで、この見晴台からも富士山を望むことができた。
まだ下界では夏色を残した木々が多い中で、この見晴台付近では見上げれば秋の空であり、
気温は高めであっても肌に感ずる空気からは季節の移り変わりが実感できる。
我々の周りをアキアカネが自由に舞っていた。
ススキの穂も眩しい光に反射しながら緩やかに揺れていた。
本格的な秋の到来がそこまで来ていることを予感させる時間を楽しむことが出来た。
◆奥武蔵グリーンライン(林道奥武蔵2号線)
奥武蔵グリーンラインは飯能〜秩父に連なる奥武蔵の山の尾根を走る林道総称であり、
今回走っている道は林道奥武蔵2号線である。
峠がいくつもあり、それぞれの展望は素晴らしい。
広場状になっているところでは、尖った姿が印象的な武甲山も確認することも出来た。
ここまでは舗装路を走ってきたが、全体的な雰囲気は好ましいものであった。
それにしても良い天気だ。
順調に予定のルートの半分くらいを走ってきた。
そして、まず1本目のダート林道の起点が見えてきた。
が、そこには通行止めの柵が、、、予想外だったが仕方がない。
先に進むことにした。
ほどなくして飯盛峠にやってきた。
が、ここから延びる林道にも無常なチェーンが張り巡らされていたのである。
この峠からの眺望が素晴らしかっただけに、走れないのは残念であった。
もしかしたら、この先の砥石線も走れないかもしれない。
不安を抱きながら、発進することになった。
飯盛峠から少し進んだところで左手にダートが見えた。
この道はまったく情報の無かったものであったが、とりあえず入線してみた。
舗装路がメインでありながら心のどこかでダートを期待していたのかもしれない。
雨が流れた轍を跨ぎながら口元が緩んできたような気がした。
実はこの林道(岩井沢線というらしい)の距離は極端に短かった。
それでも、しばし休憩を取りながらダートにいる時間を楽しんでいた。
# 我々とほぼ同時に林道を管理している人がやってきたので、
# 砥石線のことを聞いてみると問題なく通れるらしい。
# 安心して余計に休憩時間を取っていたのである。
◆林道砥石線
起点はブナ峠であり、椚平(くぬぎだいら)の集落と繋がっている完抜林道である。
入線してすぐに雰囲気漂う世界に紛れ込んだ。
少し柔らかめの路面を踏みしめながら、木漏れ日のトンネルを進む。
そして、窓の外からは山鳥の謡声に乗って木の匂いや土の匂いが漂ってくる。
そう、ここは深い自然の中なのである。
当たり前のことを改めて認識している自分を心で笑いながら、さらに進む。
杉木立が連なる場所では不思議とリズムが生まれるものである。
頭で考えなくても、気分は違ってくる。
そのような場所を過ぎた地点で分岐があった。
左は通行止めであったので、タイトターンで右側に進路を取る。
そこは野アザミの紫が鮮やかに広がる場所でもあった。
さて、ここから暫くの間、幅員は1車線で両側から枝葉がせり出す状態であった。
ある程度進んだので引き返すわけにも行かず、そのまま進んだ。
狭い区間を抜けると水の音が聞こえてきた。
どうやら渓流沿いに出たらしい。ここで小休憩を取る事にした。
ひんやりした空間である。
先ほどまで尾根上を走って空を楽しんできたが、
今はまた別の自然が年月を掛けて作り上げた美景を楽しんでいる。
なんとも贅沢な時間ではなかろうか。
五感に感じた自然を写真に再現することは私みたいな素人には困難なことである。
が、それでもいつものようにシャッターを押していた。
そう、シャッターを押すことにより、写真と同時に記憶には残るものであるから・・・
◆帰り道
椚平の集落に出てから約30分後、予定通りに「おたか本店」の前に居た。
想像していたよりキレイで大きな店であった。
入店してメニューを眺めて、私は「もりうどんセット(1,000円)」を注文した。
(柚子を生地に練り込んだうどん、柚子豆腐、ゆば、かやくご飯、漬物)
果たして、その味は、、、
黄色いうどんをすすった瞬間、口の中に柚子の風味が広がり、
コシのある麺と相俟ってなかなか美味しいものであった。
家族にも食べさせてあげたい、、、
そう思って今回の土産は店内で販売している「ゆずうどん」にした。
元はといえば、この店に来たいと思ったことから今回の探訪が実現した。
通れない道もあったが、総じて心地良い雰囲気を味わえたことで満足している。
天候に恵まれたのも大きな要素であった。
さぁ、次はどこに出かけようか。
そーと内緒にしておきたいような
雰囲気をいつも感じちゃいます。
おたか、ロードだと時間的に通過が多いですよね
おたかはそうなんですよねぇ。
美味しいのですが、時間的にはなかなか難しいですねぇ。
あ、この前の8の字林道巡りだったら適当な時間に寄れるかも(^^;
そちら方面もそろそろ走ってみたいと思っていたので、近々行ってきますね〜。
道なりに辿っていけばそのまま「林道 滝の入線」となります。
登坂に慣れるには程良いルートだと思います。
で、ピークを過ぎた先にある「林道 桂木線」との分岐を直進すれば越生方面に通じ、
右折して「桂木線」に入れば「おたか本店」の近くに戻ってきますよん。
距離も稼ぎたいので、ちょっと冒険してみようと思ってま〜す。
冒険の続きには「笹郷線」なんてのもありですね。
そのうち、旅情派モードでご一緒しましょう。