◆林道ラビリンスへ
ヘッドライトの灯りが朝もやに吸収されていく中、すれ違う車もない道を北東に向っていた。
とんでもない大雪に見舞われた4月初旬の林道探訪からちょうど2週間。
今回は北茨城方面の林道群を走るために朝4:00前に家を出てきたのである。
ひたすら下道で距離を稼ぎ、常磐道の水戸I.Cに着いたのはAM7:00頃であった。
ここから高速に乗り、集合場所の日立中央PAに向う。
ほどなくして、怪しい車たちの輪に加わった。
今回の参加者は英国車が多く、それに伴ってお初の方も多い。
そういや、アメ車が1台というのも集団ツーリングでは久しぶりかもしれない。
AM8:30頃、総勢9台の車が最初の林道に向けて走り出した。
◆黒坂米平林道
高萩I.Cで降り、コンビニを経由して、R461を進む。
一瞬、谷あいの向こうには見事に咲き連なる山桜の群生が見えた。
あっという間に過ぎ去ったのに心に残像が映るのはやはり日本人だからであろうか。
R461から離れて、黒坂米平林道の起点にやってきた。
隊列の最後尾に付け、入線する。正式にはここから分岐までは米平林道らしい。
乾いたフラットな路面から舞い上がる砂埃はダート林道を走っていることを実感させてくれる。
周囲の木々はまだまだ春の衣装をどこかに仕舞ったままのものも多くて、
山全体が笑うにはもう暫く時間が掛かりそうだ。
そんなことを考えていると、竪破山登山道への分岐で隊列が止まった。
どうやら、H号にショックのトラブルが発生したらしい。
復旧の合間にちょっと周りに目を向けてみると、水辺には鮮やかな緑が映えていた。
数十分後、進軍が再開した。ここからは黒坂林道になるようだ。
先ほどまでは道の両端が木々で覆われていたが、こちらは左側が開けてきた。
空には穏やかな青空が広がり、のどかな畑が広がる風景からは優しさが伝わってきた。
◆岡見林道〜岡見林道支線
黒坂米平林道を抜けて道の駅さとみに向う。
R349に合流するポイントでナビにGSが表示されたので、念のために給油しておく。
道の駅で小休憩して、ここで赤い110が1台離脱。
次に向う林道は今回のツーリングの目的でもあった岡見林道支線の探索である。
R349〜r22を走り、まずは岡見林道に入線。
ここは全線舗装路の林道で小さな集落を抜けてからはどんどん高度を上げていく。
途中で清水を汲むことができるポイントもあったが、今回は先客があったため先を進んだ。
ほどなくして岡見林道の支線に到着したのだが、無情にもチェーンにより封鎖されていた。
また、この支線はループ状になっているとのことで、とりあえず反対側の様子を見に行ったが、
やはり同じくチェーンにより封鎖されていた。
理由は定かではなかったが、眺望が良い場所があるとのことだったので残念だ。
いつの日か訪れることにしよう。
但し、先に別の道が続いていたのはありがたかった。
迷うことなく我々はその道を選んだ。
◆猿喰林道
岡見林道から下の県道まで続いている林道である。
そこそこ砂利も敷き詰められていて、ある程度は整備されている雰囲気があった。
ここを走っているときは隊列の間に入っていたが、適当なペースで走らせて頂いた。
車外に出てみると、穏やかな風に乗って春の芽吹く香りが漂ってくる。
土の匂いからは新しい季節の躍動感が伝わってきた。
森の小さな住人達も活動を始めている。
そう、山は生きているのだ。
カーブミラーの中にも青空が澄み渡っていた。
いつものごとく、カメラをそちらに向けては自己満足に浸る。
そして、県道に出た地点で小休憩。この後、ちょっと寄り道して自然と戯れてから、
再び猿喰林道〜岡見林道とつなぎ、水辺の気持ち良い場所で昼飯を取ることになった。
◆昼飯
いい場所にやって来た。
緩やかな水の流れは気持ちを落ち着かせる。
そして、手を入れては優しい冷たさに春が溶け込んでいるのを実感する。
さて、そうこうしているうちに各自の昼飯も準備が整ってきた。
テーブルには怪しいストーブが並び、それぞれの時代の火で存在を主張していた。
たかがストーブ、されどストーブ。私にとって林道ツーリングには欠かせない道具である。
この後、談笑モードでまったりとしていたら、空からはポツポツと…
慌てて撤収して、午後からの林道探訪が始まった。
◆七ツ滝柳沢林道
地図を見るといくつも楽しめそうな林道がある。
今回は完全なお任せモードであったので、皆さんが選んだ道は七ツ滝柳沢林道であった。
しばらく舗装路を下り、鋭角な分岐を曲がってダート林道に入線。
管理釣り場側の方が柳沢林道らしいが、七ツ滝林道との境目ははっきり覚えていない。
記憶を辿ると、登りは特に問題もなく進めたと思うが、下りになってくるとその様相は一変する。
路面は荒れ気味になり、路肩が大きくえぐられているような箇所もあった。
また、上や左右からは枝が迫り出し、背の高い車は屋根などに洗礼を浴びていた。
そこから高度を下げるにつれて幅員も広がり、林道自体が落ち着きを見せ始めると、
その先には林道名の由来にもなっている滝も幾つか確認することが出来た。
いつしか野木のつぼみをほぐす春の雨も上がり、花園神社の駐車場で休憩することにした。
◆花園神社駐車場
駐車場脇では遅咲きの桜が我々の到着を待っていてくれた。
静けさの中でさきほどまで雨に濡れていた淡紅色は印象的であった。
そこには相反する絢爛さと儚さが感じられる。
桜の語源のひとつでもある農耕の神として崇められた古い時代を経て、
愛でる桜文化が生み出されたのはそのような姿に惹かれたのかもしれない。
そんな中、色々と車の仕様について話が飛び交っていた。
他車種が集まるとそれだけで面白い。
ボンネットを開けて中の構成を確認したり、足回りや車内を覗き込んだり、
そういや、何故かマスター巻きをする輩も居たりなんかしたっけ?
◆弥太郎林道〜横川目兼林道
花園神社を出た頃には時計は既に夕刻を示していた。
ただ、空にはまだ明るさが残っていた。
当たり前のように過している日々だが、こんなところに季節の移り変わりを思う。
弥太郎林道に入線してしばらくすると渓流沿いに走り出した。
段々状になった水の流れがふと目に止まり、思わず車を止めた。
なかなか趣がある林道であり、さらに暦を重ねれば緑できらめく世界が堪能できるであろう。
途中、ガードレールの橋を渡って別の林道に進路を取った。
ここは横川目兼林道である。
峠に向っての上りでは林道全体が覆われている印象もあったが、
下りはじめてからは瀬音を意識して走ることになり、心地良い林道であった。
今回は一気に走り抜けたが、改めてゆっくりと走りたいものである。
◆帰り道
舗装路に出てからは温泉に向うことになったが、時刻は既に18:00過ぎ。
子供と約束していた私は一人だけ離脱していわき勿来I.Cに向った。
常磐道は空いており順調に南下していたが、
「三郷I.Cで6km渋滞」の表示を見て、流山I.Cで降りることにした。
そこからはR16経由で自宅に辿り着いたのは21:00過ぎであった。
尚、途中のSAで興味本位でお土産に「納豆せんべい」を買ったが、
せんべいに乾燥納豆がまぶしており、味はまさしくそのものであった。
今回のツーリングは走り応えがあり、程良い疲れを感じながら眠りに就いた。
深みのある林道群に出会えて、さらなる探訪心が大きくなったのは言うまでもない。
※オマケ画像
オマケ1 オマケ2 オマケ3
ちょっと駆け足で走り抜けすぎましたね。
そういや自分でセレクトしていながら、その後はあんまり名前のあがった林道は走っておりませぬ。
もっぱら四時川林道専念して走っちゃうのよね。
※オマケ画像、思い出して笑いました^^;
茨城方面はもっと散策したおけば良かったと今さら思っていたりしています。
オマケは・・・お馬鹿な自分が懐かしかったです(^^;