◆梅雨入り、それとも入梅か
四季の間にある小さな季節がこれから訪れようとしている。そう、「梅雨」である。
6月のカレンダーをめくった頃から、「梅雨入り宣言」の声が繰返して聞こえてくる。
ところで、「つゆいり」という字を漢字変換させると「梅雨入り」の他に「入梅」とも表示される。
なんだかこちらの漢字だと風情を感じるのは私だけであろうか。
天気用語には様々な表現があるが、一つ一つにはなるほどと思わせる意味があり、
古来からの日常生活に深く関与していたことが想像される。
こういう林道レポを書くにあたっても、大いに参考になるのでいずれ勉強したい。
さて、関東の「入梅」はもう間近である。天気予報には傘マークが多くなり、
またその状況は二転三転することも少なくなく、週末の予定も立てにくくなる。
そのため、宣言を聞く前に林道に急遽出かけることにしたのである。
◆林道大名栗線
今回、目指すことにしたのは名栗村方面の林道である。
特に大名栗線は空に近い場所を走れる長距離ダートとのことで最も興味があった。
朝8:00前、3台で集合場所を出発。
まずは、R299からr395(南川名栗線)に入り、天目指峠経由で名栗村の方面に向う。
大名栗線の起点は名栗湖の少し南、ラジウム温泉大松閣の脇を抜けたところにある。
背の高い木々に囲まれた薄暗い舗装路を暫く走った後、ダートがその姿を現すが、
この辺りはフラットとは言いがたく、石が連なって顔を出しているため挙動も大きくなる。
そんな中、高度を上げていくにつれて目線の高さに・線が届くようになった。
空には嬉しい限りの青色が広がっている。眼下には名栗湖の美しい色も確認できた。
直前に雨から晴れに切り替わった天気予報だったが、ホント訪れて良かったことを実感した。
脇から水が出ているところも何ヶ所か存在した。
総距離24km云々と書かれた大名栗線の立派な説明書きがあるところでは広くなっており、
そこでは水が流れて落ちるように細工されていた。
その横では登山道への入り口もあり、煌く緑の世界にいざなう階段が続いていた。
途中、何度か2台のオフバイクと抜きつ抜かれつを繰返した。
お互い、二輪四輪の違いはあれど林道ツーリングの楽しみ方に大差はない。
景色の良さげな場所で小休憩を取りながら林道日和を楽しんでいたのである。
我々自身の中でも、連なったり時折離れたりしながら各自のペースで走っていた。
山腹を縫うように走るこの大名栗線は実に素晴らしい。
雄大な眺望を味わいながら、ましてやこの好天気である。良い印象を持たずにはおられない。
但し、崩落の名残りが数ヶ所あり、場所によっては通過するのにギリギリの場所もあった。
その先、有馬線との分岐に差し掛かると、先ほどのオフバイク二人組が地図を広げていた。
どうやら現地点を確認しているらしく、ここで小休憩を取りながら情報交換などを行った。
数分後、バイク組はそのまま大名栗線を直進し、我々は有馬線への進路を選んで別れた。
◆林道有馬線
ここは名栗湖方面に向って広族原逆川林道と繋がっている林道であり、
大名栗線との分岐からしばらくは急勾配で下っていくことになる。
途中、MTBを押して登ってきたおじさんに呼び止められ、分岐までの距離を尋ねられた。
この急坂は相当こたえているようで「あと300mぐらいなので頑張ってください。」と伝えて、
我々は下っていった。
幅員1.5車線のこの林道は約2kmほどでダート部分が終了した。
もともとダートだけを楽しんで大名栗線に戻るつもりでいたので、Uターンすることにした。
◆林道大名栗線
さぁ、再び大名栗線を走ることにしよう。
有馬線との分岐で一旦高度を下げていたが、切り通しを抜けると再び高度が上がってきた。
ナビの高度計を見ると900m付近を走っているようだった。
対面の山には今まで走ってきたと思われる林道が確認できた。
とはいえ、実際にはかなり離れているだけにこの林道の距離を実感する。
そうそう、法面工事のせいなのか、地質のせいなのかはよくわからないが、
こちら側でも崩落の名残りがいくつかあった(走りに行かれる時は注意されたし)。
ほどなくして、舗装路が見えてきた。広族原逆川林道に辿り着いたのである。
この大名栗線は眺望と距離の両方を楽しめることができ、お気に入りの林道に加わった。
◆広族原逆川林道〜名栗湖
広族原逆川林道との分岐を左折して天目山林道の様子も見たかったが、
それはまたの機会にして、今回は右折して名栗湖方面に向うことにした。
従って進む道は延々と九遜九折の下り坂である。
今回はハンズフリーを装着して初めてのツーリングでもあり、
非常にその恩恵を感じた。
そうそう、大名栗線から下ってすぐのところに西名栗線の起点があった。
総延長は20km以上と思われるため期待大である。
広族原逆川林道も舗装路だが全線走破すれば走り応えがありそうだ。
特に今回は有馬山越えはしていないので、いずれ走ってみようと思う。
名栗湖が見えてきたのでここで小休憩を取ることにした。
◆林道炭谷入線
お昼をのんびり取れそうな林道を探すことにした。
名栗湖から一旦R53に出て鳥居観音北側の道を左折して、民家が並ぶ脇に起点を発見。
茶畑を横目に通り過ぎて林道に入線すると、少し薄暗い杉木立の中に水の音が優しく響いてくる。
その中を緩やかな勾配とともに進んでいくと良さげな場所があったが、
とりあえず、フラットなダートが続いているので先を進んだ。
しばらく上っていくとダートから急にコンクリ路面に変わった地点で林道は終了した。
いや、正確にはT字路になっており、左右両方とも通行止めとなっていた。
その場の雰囲気を見るとかなり延線するのではないかと思わせる状況であった。
今後の展開が楽しみである(もしかして西名栗線と繋がるのであろうか)。
さて、昼飯は最初に目を付けた場所に戻ることにした。
ちょうどクルマを止めるスペースと日を避けることができるスペースがあり、
涼やかな空間の中でゆっくりと休むことができた。
昼飯後はもうひとつ考えていた人見入線を訪れることにした。
◆林道人見入線
R53から人見集落のほうに進路を取る。
少し行き過ぎて迷ったが、無事に起点を発見して入線する。
こちらも最初はせせらぎが出迎えてくれた。
今回のツーリングは大きな渓谷沿いを走るわけでもなかったが、
総じてどこかに水を感じることができて、陽射しの中に涼感を漂わせてくれていた。
大きくS字を描いた尊防付近から、いよいよ特徴である山岳林道の様相を呈してくる。
いくつかの切り通しを通過するに連れて景色も開けてきた。
当然、窓から入ってくる風も心地良い。
が、しばらくして目の前は崩落のために塞がれてしまった。
岩が転がり、ガードレール側も根こそぎ樹木が倒れていたりした。
さすがに引き返さなくてはならないが、バックで何百m戻るのも辛い話だ。
狭い場所で切り返しを繰返してUターンすることにした。
再び下までおりてくると深い緑で囲まれた林道となり、印象ががらりと変わる。
小さな川原沿いにはちょっとした休憩に適した場所も見つけた。
水辺にある木の下では日陰もできるであろう。
それにしても、崩落の先はどんな風景があったのだろうか、、、
もしかして西名栗線と繋がるのであろうか、、、
この林道も色々と興味を残してくれた。
◆r395〜刈場坂峠〜奥武蔵GL〜林道梅本線
人見入線を走り終えた時、14:30頃であっただろうか。
これからどうすべきか考えて、奥武蔵グリーンラインに向うことにした。
r395(南川名栗線)経由でR299まで戻ってきたが、その途中のダート線に寄り道。
しかし、結果は短いピストンなり。特にこれといって書くことはない(いや、書かない・・・謎^^;)。
正丸トンネルから刈場坂線を上り、林道茶屋のある刈場坂峠で小休憩。
ここでも澄んだ青空がどこまでも広がっているような感じがして良い気分になった。
せっかくの素晴らしい天気。もう一本だけダート林道を走りたかったので、
奥武蔵グリーンラインを東に向かい、ブナ峠から林道砥石線に入ることにした。
いつもと変わらぬ緑で美しい道を進み、ほどなくしてブナ峠に差し掛かったので
曲がろうとすると、、、う〜ん、予期せぬチェーンが、、、
これは全くの予想外だったが、仕方がない。
このまま東に向って梅本線が開いていたらラッキーということで進むことした。
ダメ元であったが運が良かった。久しぶりに梅本線に入ることができた。
道を塞いでいた大岩もどこかに消えており、侵食され荒れ気味だった路面も落ち着いていた。
しばらく下っていくと梅本線の支線があったので、そちらに進路を取った。
以前、訪れた時は支線には入らなかったのだが、あまり使われていない模様。
直線的な木立の中を走ることになるが、ちょっと広くなった場所で行き止まりになっていた。
その後は、本線をさらに下って終点に辿り着いた。
時計を見ると16:00頃を差しており、陽射しには柔らかさが溶け込んできていた。
◆帰り道
その後は、越生〜鶴ヶ島とつないで川越方面を目指した。
一般道では雑多な音が入り乱れ、先ほどまでの山鳥の歌い声や瀬音は聞こえない。
見上げる空もすごく遠ざかったように思える。これが普段の生活なのである。
また山が恋しくなったら気ままな林道ツーリングに出かけよう。
3台は各々の目的地に向って道が分かれた。
次第に無線の声が遠くなり、代わりにラジオの電源を入れた。
♪〜 車内には昔良く聞いた懐かしい曲が流れはじめた・・・
そういえば今は3人とも、このときの車じゃないんですね
ディーゼル規制が無かったらXJに乗り換えることもなく未だにUBS69だったかも・・・