◆夏休み初日
サッカーアジア杯優勝で盛り上がったその翌日、早起きして5時15分にエンジンキーを回し、
R254〜R462〜R299と繋いで集合場所である「道の駅 上野」に向かう。
ちなみに、本日から夏休み。
家族のみ帰省することになったので単身の初っ端の日に林道にお出かけなのだ。
途中、給油とコンビニでの物資補給を経てちょうど2.5時間で到着し、
前泊していたHさんと雑談しながらTさんを待つ。今回はトリコロール色の3台となる。
重く曇りがちだった空も陽が上るにつれてすっきりとした青色の世界が広がっていた。
◆中ノ沢林道
朝8時半過ぎに「道の駅上野」を発ち、中ノ沢林道を走るためR299からr124に入り登っていく。
大きくS字を曲がったところの左手に起点があり、すぐにダートが顔を覗かせている。
昭和36年起工と記されており、なかなか古い林道であるが、
そういえば、このような埋め込まれた石の標はあまり見かけない。
夏の山に広がる緑色の葉はすっかり濃くなっている。
山鳥の美しい鳴き声が響く道を進んでいくと、路面にはミヤマカラスアゲハの大群が現れた。
体温調整や無機塩類採取のために給水していたのであるが、これは雄だけに限られる行動だ。
その後も何ヶ所かで同じような大群が現れ、車が通過する度に乱舞する姿が見受けられた。
木陰でひと休み。肌に触れるひんやりとした感覚が嬉しい。
中ノ沢林道は左手にかなり深い谷が存在し、
ガードレールがほとんど無いので適度な緊張感を持って走ることになる。
尚、小さな崩落跡が残されているものの路面は総じてフラットであると言えよう。
所々で大きく展望が開ける場所もあり、夏の空が広がっている。
青いキャンバスに白い入道雲といった素晴らしい絵を楽しむことが出来た。
時間の都合もあり、途中に何ヶ所かあった支線は全てパスして奥まで進んできたが、
当初の情報通り、ダム工事中のゲートで塞がれており、登ってきた道を戻ることにした。
結果的に往復25kmほどのダートピストン。
1本目から走り応えを感じ、以降の林道に期待を寄せる。
◆林道北山線
r124まで戻り、さらに西進してぶどう(武道)峠を越えていく。
白岩の集落付近から右に伸びる道が東山線に繋がるものと判断して右折してみた。
# 後続車に対して、いつもの"間違っていたらゴメン"の展開である。
舗装路を登っているうちに東山線ではなく北山線の起点が見つかり、入線することにした。
ありがたいことにすぐにダートである。
入線してしばらくは前日の大雨の名残と思われる水溜りが200mほど続く。
小さな橋を1本渡ると雰囲気が変わり、九十九折の道を一気に高度を上げていくようになった。
カラマツが続く道を登っていく過程で時々展望が開ける場所があり、
特徴的な岩峰の山も遠くに確認することができた。
ほどなくして通行止めのゲートに出くわした。ここまでは約2〜3kmほどであった。
その傍らではアブの仲間がほたるぶくろの花と戯れていた。
引き返して、先ほどの舗装路を進むことにしよう。
ちなみに、北山線を走っている途中から四方原(川越石)林道という標が
2ヶ所ほど立っていたことを付け加えておく。
◆林道東山線
さて、北山線の起点まで戻り、改めて舗装路を登っていくとY字路的な場所に出くわし、
その右側には東山線の起点と共にダートが伸びている。
とりあえず、選択した道が正しかった安堵感と新たな林道への気持ちの高ぶりが入り混じり、
不思議な感覚の中で四駆にシフトした。
走り始めると先ほどまでの林道とは少し雰囲気の異なる路面だ。
途中、幾つかの分岐はやり過ごしたが、どちらが本線でどちらが支線か迷う場面があった。
結果的にそこで選んだ道は数百mで雑草地帯になって路肩が確認できなり引き返すことにした。
その後も迷いそうな分岐があったが、ラビリンスを楽しみながら先に進んでいく。
そのうち前方に灰色の分厚い雲が広がってきたので適当な広場で飯を取ることにした。
食事の終わりかけの時に一瞬パラッときたが、再出発時にはまた青空が戻った。
余裕のある幅員と引き締まったダートのおかげで走行は順調だった。
ちなみに高度計では1500〜1600mほどの標高を走っていた。
心地良い展望が広がる場所もあり、爽快感に浸れる林道だ。
距離は10km近くあり、周辺の林道を絡めて楽しむことができるだろう。
御座(おぐら)山方面を望んでいると思われる場所があり、
北山線から見えた特徴的な岩峰の山がこちらからでも対面に確認できた。
それにしてもこの季節の林道には白い雲が良く似合う。
峠の切り通しを抜けて、次に向かうのはいよいよ茂来線である。
ここからは一気に高度を下げていく印象となった。
◆林道茂来線〜林道信濃沢線〜林道茂来線
東山線を下り切ると舗装面のT字路となり、右折してここからは茂来線を進んでいく。
茂来線は総距離にして約34km、そのうちダートは約26kmと言われている林道である。
T字路から少し走るとダートとなるが、広域基幹林道ということで充分な幅員が確保されており、
路面もフラットで整備されている。
思わずアクセルを踏み込んでしまいそうな感じになるほど、とても走りやすい。
しばらくダートを楽しんでいるとフロントガラスにポツポツと雨が落ちてくるようになった。
ただ、空には青さが残っているので本降りにはならず、何度かワイパーを動かす程度で済んだ。
西の方角に向かって進んでいると、突如として黄色い世界が現れた。
オオハンゴウソウ(大反魂草)の群生である。
1.5〜2mぐらいの高さに鮮やかな色合いの花が咲き誇り、延々と連なっていた。
距離にして約1kmほど続いていたのではなかろうか。いやはや、これは見事というしかなかった。
時折、黄赤色したコオニユリの花も見つかり、
まるで自己主張しているかのようにその存在感は大きかった。
花の通り道を過ぎると水上の集落を抜け舗装路を走ることになる。
幾つも分岐があり、ラビリンスは奥深さを増してくる。
とにかく今走っている道が茂来線なのかどうなのかわからなくなってきたが、
途中、牧場?を過ぎた辺りで右に伸びるダートを見つけたのでとりあえずそちらに進路を取る。
これが当たりの道で目的である信濃沢線に辿り着くことが出来た。
この信濃沢線はハート型ループ状の林道で茂来線との関係は上(左)の画像のようになり、
一番右側が進んできた道、真ん中2本が信濃沢線、手前一番左側が茂来山線に通ずる道だ。
今回は左回りのルートを雨車2台、右回りを英酷車1台で走り、途中ですれ違うことにした。
お互いの状況は無線を積んでいるので問題はない。
どちらのルートを選んでもまずは登ることになるが、それぞれの印象はかなり違う。
左回りの場合、カラマツの良い雰囲気と白樺の高原っぽい雰囲気が交互に現れ、
また路面も芝生の上を走っているような上品な感じがして、無線では淑女の林道と称していた。
しばらくして、ほぼ同じペースで回ってきたH号と遭遇。
但し、すれ違うには困難なポイントであったため、ちょうどハート型の上側真ん中の広場まで
100mほどバックして頂くことになった。そしてそこで小休憩。
下り始めると、こちら側は樹木で覆われて鬱蒼とした印象を受けた。
路面の性質も変わり、少々挙動が大きくなったりもした。
約7kmの周回ルートを楽しんだ我々は再び茂来線の続きに進路を取った。
さて、ここからがまたラビリンスである。舗装路となり、幾つかの分岐が悩ませてくれる。
その都度、上手い具合に道を選択しながら茂来線を走り続けることが出来ていたが、
ふと燃料の話題になり、念のため小海(R141)まで降りて各車給油することにした。
当初は茂来線から茂来山線に繋ぎ、R299沿いの大日向日影林道で締め括る予定でいたが、
GSに向かう途中、三国峠経由つまり中津川林道で帰る案が浮上し、
結果そのルートを選択することになった。
◆高原のパンやさん
時間は15時前であっただろうか。R141沿いのGSで給油を終えて南下する。
ふと、人気の「高原のパンやさん」がこの周辺にあったことを思い出し、
後続2台に喋りかけてみると良好な反応があった。
そして、その数分後には店の中に居た。
天然酵母を利用した無添加のパンが沢山並んでいたが、
今回、購入したのは「天然酵母のフランスパン」と「やつがたけしゅー」の2つ。
今までも何度か前を通り過ぎたことはあったのだが、
いつも時間が遅かったりして叶わず、ようやく立ち寄ることができてラッキーだった。
◆中津川林道
R141からrR68へと信濃川上方面に進路を取り、三国峠に向かって千曲川沿いを東進する。
すると、みるみるうちに分厚く重なった雲が眼前に迫ってきて、あっという間に土砂降りに突入。
三国峠付近の天気が心配になったが、結局、雨が降っていた区間自体は短いもので、
どうやら、山の向こうは青空が広がっているようだった。
途中、秋山沢線の起点が近くにある小学校の前を通過する。
そこから秋山沢線〜相木川上線と繋げば約12kmほどのダート区間を楽しめるのだが、
相木川上線の三国峠側のゲートは締まっていることが多いので、
今回は安全策でそのままパスして通常ルートで三国峠を目指すことにした。
# 後ほどそのゲートの前を通過すると開いていたのだが・・・まぁ、良しとしよう。
しっとり濡れた雰囲気の舗装路の高度を上げて行き、三国峠に到着。
周囲は白く覆われているものの幸いにも雨は無し。
木製ベンチに腰掛け、コーヒータイムとなった。
そして、先ほど購入した「やつがたけしゅー」の登場。
これがまた甘さ控えめのカスタードで「美味しい〜♪」のひと言(^^)
じつは店で残っていたのが3個だったので、我々が一つずつ買っていたりなんかして。
# 「天然酵母のフランスパン」は自宅での楽しみとしたが、これまた(^^)な風味なり。
さて、中津川林道で帰るのには理由があって「豚鼻岩」の現物を確認したかったのだった。
コーヒーを頂いて一服した後、三国峠を通過して引き締まったダートを下り始める。
天候のせいで遠くの景観は期待できないが、
その代わりに水気を帯びた艶やかな雰囲気が辺りを取り囲み何とも言えず美しい。
ほどなくして、目的の岩を発見。
葉が成長して少し見えなくなっているが、たしかに豚の顔だった。
以前走った後にこの岩の存在を知ったのでやっと確認することが出来た。
さぁ、見るものは見たし、後は帰るだけだ。
渓流沿いではひんやりとした天然のクーラーや素堀の隧道を味わい、
樹木の匂い、土の匂い、清流の匂いが融合した自然を楽しみながら走り抜けた。
◆帰り道
新しくなった中津峡沿いの道からR140に出て、一旦「道の駅 大滝温泉」にて小休憩。
その後はR140〜R299で帰りながら晩飯を検討し、
20:30頃、新狭山駅近くの「レストラン シュー」に到着。
オムライスやハンバーグなどのメニューが中心の洋食屋さんでアットホームな雰囲気が良い。
今回は「煮込みハンバーグ」を注文したが、とても美味しくて、また訪れたいと思う。
店を出た後、家路に向かうため2つ目の交差点で彼らとは左右に別れた。
ホントに今回は走り応えのある林道ツーリングであった。
正確には測っていないが、ダートだけでも80kmほど走ったことになる。
もちろん、それぞれの林道の質も良く素晴らしい内容だった。
もうあれから3年になろうとしてるのですね。
あの年は、レポ地の近隣を2度3度訪れましたが、
その都度、季節ごとに表情を変える自然の様を
楽しませてもらったのが記憶に焼きついています。
中ノ沢は、あの御巣鷹山からもほど近い所を走っているんですよね。
実はあの時3台で走りながら、ここから見える山々のどこかで、
「不本意にも終わらざるを得なかった尊い命」が
沢山土に眠っているのだ、と
ハンドルを握りながら考えていたのでありました。。。
四駆時代の思い出は止まったままになっています。
結局、茂来山界隈の迷路を楽しんだのは一度っきりになりましたが、
いずれまた足を運んで楽しんでみたいと思わせる林道群でした。