◆道の駅 大滝温泉
今年は少々遅れ気味であるが、秩父周辺にも紅葉の彩りが広がりはじめ、
最近の朝晩の冷え込みによって色の深みが増すことが期待された。
天気予報では午後から雨となっていたが、一週間ずらすと見頃は過ぎてしまうかもしれない。
とにかく、早朝5時半に家を出て「道の駅 大滝温泉」を目指す。
7時半に到着後、同行者を待つために道の駅裏手の階段から河原に降りて時間を潰したりした。
駐車場に戻ると、1台が到着していた。
そして、2台、3台と揃ったので中津峡に向かってスタートすることにした。
尚、もう1台から電話があり、「道の駅 上野」辺りでの合流を想定することになった。
◆中津川林道
R140のループ橋(通称:雷電廿六木橋=らいでんとどろきばし)を過ぎ、中津川大橋を右折する。
以前は深い谷に降りてから峡路を進むため、特に紅葉シーズンは混み合ったりしたのだが、
現在は滝沢ダム建設に伴う約3.3kmの立派な道が大滑沢まで設けられて走り易くなっている。
ちなみに、峡路の旧道はいずれは水の底に沈んでしまう運命らしい。
雷電烏頭山トンネル、芋堀トンネル、雷電三高山トンネルなどを過ぎて渓谷沿いに合流する。
朝が早く、そして天気予報も芳しくないせいか交通量は少なく路駐による妨げもない。
この辺りは見頃を迎えつつある雰囲気だが、例年のような赤い発色が少ないような気がする。
夏から秋にかけての異常気象や台風などの影響も少なからずあるのだろう。
とはいえ、黄や緑といった色たちに混じって秋を演出する舞台には素晴らしいものがあった。
その先の分岐点を左に折れて、しばらく進んで中津川林道のダートへ辿り着く。
曇天のため紅葉の照りは楽しめなかったが、清流沿いの落ち着きある景色が心地良い。
道の両側に生えている木々が自然に作り出すトンネルも美しい。
次第に道が開け始めて、180度にターンする場所から一気に高度を上げるようになり、
山の斜面を彩るさながらパッチワークのデザインが印象的になってきた。
青空と白い雲が広がっていれば素晴らしいコントラストが楽しめたことだろう。
ポツポツとフロントウィンドウに雨粒が落ちたり止んだりする道を上りながら、
細い枝先に秋色を付けた葉を見つけては写真に収めていく。
そこから少し進んで岩壁沿いに立つ豚鼻岩に到着。
夏場に訪れたときは生い茂った葉に隠れて姿がはっきり見えなかったが、
本日は完全にその形を認識することができた。
ほどなくして、間隔の開いていた後続車も追いついてきた。
ここで折り返しの三国峠に向かって改めて隊列を整えた。
三国峠が近づいてくると、はるか向こうまで続く山の稜線がのぞめるようになる。
どの山にも紅葉の訪れがあり、それが幾重にも織り成す風景に小さな感動を受ける。
そして、三国峠。時間は11:00頃だっただろうか。
程々の小休憩を取ってから、次に上野大滝林道に向かうため来た道を下ることにした。
◆上野大滝林道
まるで息を止めたままかのように中津川林道の下りを一気に走り抜けた。
舗装路に辿り着いた時は思わずフーッとため息が出たほどであった。
八丁峠方面に進路を取り、雁掛トンネルの手前からダートに入線する。
水溜りが点在し、ぬかるんだ道をゆっくりと進んでいく。
弱い雨ながらもいつしかワイパーは動きっぱなしとなり、迫り出す岩肌もしっとりしている。
見所のひとつである連続する素堀トンネルまで進んだ。
が、重機や資材がスペースに置かれており、いつもの風情は感じない。
岩盤には吹き付けの跡もあり、災害対策なのかどうか不明だが今後も手が入りそうだ。
遠めの山に散らばる紅葉を楽しみながらどんどん高度を稼ぐ。
大きく谷を回りこんでいる場所では対岸に後続車の姿も見えてちょっと嬉しい。
至る所に舗装作業の準備が見受けられ、山吹橋付近ではロードローラーが動いていたが、
この先に進みたい旨を伝えると通してくれた。
いつもなら天丸トンネル脇の広場で小休憩を取るのだが、今回はそのまま通過する。
下り始めると、辺りはさらに白い世界に包まれるようになってきた。
落ち葉が綺麗に敷き詰められている脇を過ぎて、九十九折の道を下りていく。
携帯が圏外のため、また深い山間のため無線の電波も届かず、
合流予定のもう1台の状況がわからないまま今まで進んできたが、
奥名郷の集落を抜けてR299近くになった辺りでやっと携帯が繋がった。
◆合流、そして昼飯
時間は12時半過ぎ、我々はひと足先に「道の駅 上野」に到着し、
その20分後にもう1台も姿を見せて無事に合流することができた。
雨が止みそうにないので昼飯をどうするか検討するが、
店に入るようなことはせず、雨宿りできそうな場所を求めて出発することにした。
予報通り、雨が徐々に強さを増し、昼飯場所についても少々不安になってきたが、
R299に入って志賀坂峠に向かう道にちょうど良い場所があった。
屋根がありがたい。軒先をつたう雫が一定の間隔で落ちる。
各自、温かいラーメンをすすりながら小一時間ほどのんびりとした。
◆林道 茅ノ坂峠線
志賀坂峠を過ぎて下りきると、若干雨が弱まったようだ。
日向沢を左に折れて茅ノ坂峠を越えることにした。
まずは右に左にうねる舗装路を上っていき、暫くしてダートの路面に変わった。
紅葉については色づき具合はまだまだであった。
(去年走った時のように)岩肌が露出している場所に赤や黄の彩りが添えられていると
好印象なのだが、そうそう都合良く走れるものでもない。
ましてや、遠景が楽しめるポイントでも本日は白い靄が立ち込めて全く見えない。
もちろん、それはそれで幻想的ではあるのだが、、、、
結局、一度も立ち止まらず、藤倉の集落まで走り抜けた。
この後は合角ダムを過ぎてr71を左折して明ヶ平沢戸線を目指すことにした。
◆林道明ヶ平沢戸線
起点近くの柿の木は印象に残っており、今年もいくつかの実がなっていた。
その脇を通り過ぎて、荒れ気味で挙動が大きくなる舗装路を上っていく。
本来なら、ダートがその表情を見せ始めると深い谷を実感するようになるのだが、
この日は靄に包まれてどのような景色が広がっているのかわからない。
目の前に続く道だけを辿って不思議な感覚に陥りながら先に進んだ。
トンネルを抜けた先にはさらに幻想的な雰囲気が広がっており、
後続車のライトがすりガラスを被ったようにぼんやりと光り、なんとも良い雰囲気だった。
林道を走り終えてからは石間川沿いに南下し、
r37沿いの「道の駅 龍勢会館」に立ち寄ることにした。
◆帰り道
「道の駅 龍勢会館」に駐車後、軒下にてひと休み。
しとしと降り続ける雨に晩秋の雰囲気が漂う。
売り場をのぞいてみると、地の産物が色々と並べられており、
以前から気になっていた「すまんじゅう」があったので土産に買ってみた。
雑談を交わしているうちに時計は16時前となり、そろそろ帰路に着くことにした。
幸いR299は混むことはなく、川越方面に抜けるr15との分岐まで順調に流れ、
ここで2台と3台に進路を分かつことになり、無線で別れを告げる。
R407で右折して1台となってからは、ふと思い出してラジオのスイッチを入れた。
その後は抜け道を利用しながら走ったが、雨に反射した路面ももうすぐ終わり。
いつもの角を曲がると数百メートル先の我が家が見えてきた。
子供部屋に灯る明かりが妙に嬉しかった。